北岳(白根三山縦走)
 (3192m)

年月日 平成21年8月22〜25日
天  候 晴れ
ル− ト 
8/22 新富観光→魚津IC→芦安駐車場→広河原登山口→
    白根御池小屋(泊)
8/23 白根御池小屋→肩の小屋→北岳→北岳山荘(泊)
8/24 北岳山荘→間ノ岳→農鳥小屋→農鳥岳→大門沢下降点→
    大門沢小屋(泊)
8/25 大門沢小屋→大古森沢→第3堰堤→広河内橋→奈良田温泉→
    魚津IC→新富観光

参加者 14名



1日目 8月22日(土)晴れ  広河原登山口〜白根御池小屋
5:30 新富観光バスターミナル(富山)を貸切バスで出発。魚津ICで5名乗車、計14名の参加者。
魚津ICには会長が見送りに来ておられた。 バスは北陸自動車道から上信越自動車道、長野自動車道、中央自動車道へと進んだ。おにぎりをほおばる人、ビールを飲む人もいる。途中何度かSAでトイレ休憩をしながら行った
10:45 南アルプス市芦安に到着。 ここで新富観光バスを降り山梨交通乗合バスに乗った。
バスの中は登山客で満員の状態で座れない。しばらく行ったら女性バスガイドが無線で連絡を取り、すいている後続バスへ乗り換えるよう手配をしてくれた。
11:30 夜叉神峠というところで後続のバスに乗り換えた。 今度は我々だけの貸し切り状態。
男性バスガイドが「来週日曜日が衆議院総選挙の投票日なのでこの土日は山は混んでいます」という。 バスは険しいしい山道を進んで行く。 左手は断崖の絶壁だ。
12:05 広河原バスターミナルに到着。テントが設営され、大勢の登山客がいる。この人達はみな北岳に行くのだろうか、トイレに行ったり、腹ごしらえをしたり。 それからストレッチ体操。 登山開始の準備を整えた。
12:30 広河原登山口を出発。いよいよ歩き始めた。 少し上流へ歩いて野呂川に架かる吊橋を渡った。  しばらく行くと分岐に出た。  右手は本日宿泊する白根御池小屋へ直行するコースである。 当初はこのコースを行く予定であったが、天候が良いので左手の大樺沢コースを行くことになった。
川沿いの林の中を進み、沢を渡り、ガレ場、崩壊地も越え、ダケカンバなどの林のなかを登って行った。 一歩一歩高度を上げて行く。 徐々に息があがり、汗ばんできた。
14:30 眺望のよい場所で休憩(30分)。 GCLのTさんが「あれは甲斐駒ケ岳、あれはアサヨ峰、仙丈ヶ岳、あれは・・」と見渡す山々を説明。
15:30 二股分岐に出た。 白根御池小屋まで30分とある。  これからは平坦のようだ。
16:15 白根御池小屋に到着。二股分岐から30分と書いてあったが45分もかかってしまった。 疲れが出たためだろう。
ここは標高2,225m。 広河原登山口は標高1,520mだったから今日は約700m登ってきたことになる。
皆、安堵の表情。  さっそく靴を脱いで小屋に上がった。  この小屋は南アルプス市市営で3年前に改築されたとのこと。 新しくてきれいだ。   割り当てられた部屋の名は「しなのきんばい」。   この部屋は我々14名だけだが狭く、ひとり1畳ないくらいである。
白根御池小屋にて シナノキンバイ

16:45 別室にて全員(14名)車座になって酒盛り開始。 大いに盛り上がった。
女性3名はいずれも酒豪。
Aさんはビール党、Bさんは日本酒党、Cさんはウイスキー党とのこと。
さすがに白根三山縦走をする人達だけあって猛者ぞろいである。
17:30 夕食。 箱弁当料理風。 美味しかった、このあと、さらにアルコールを補充する人、話し合う人、もう寝ている人、いろいろ。小屋の外へ出てみると色とりどりの宿泊テントが並んでいた。 見上げれば明日登る北岳がまじかにそそり立っている。
いよいよだ。 期待と不安が交錯。 北岳は3,193m、明日は約1,003m登らなくてはならないのだ。
20:00 消灯。 明日のために早く寝つかなくては。しかし、すごいいびきだな。

2日目 8月23日(日)晴れ  白根御池小屋〜肩の小屋〜北岳〜北岳山荘
4:30 起床。12℃。晴れだ。いよいよ今日は北岳登頂だ。
5:00 朝食。1,000m登るのだからしっかり食べておかないと。
5:45 小屋の前で皆で準備体操をした。
6:00 白根御池小屋を出発。予定よりも1時間早いスタートである。 少し行くと「肩の小屋まで3時間」の標識が立っていた6:20 いきなりの急登。これが「草すべり」の登りとのこと。そういえば登山道の両側には滑りやすそうな草が生え茂っている。 息が荒くなり、汗びっしょりとなった。休憩だ。
標高2,350m。20分間で127m登ったことになる。「ゆっくり行こう」との声があがった。
6:40 喘ぎ喘ぎ前の人の足を見ながら一歩一歩踏みしめている。休憩。標高2,450m。「40分間で226m登ったぞ。 すごーい!」。 自分で自分を元気づけている。
7:00 休憩。標高2,545m。
7:45 休憩。標高2,720m。相変わらずの急登が続く。
8:05 左手に富士山が見えだした。
8:30 稜線に出た。標高2,850m。視界が開け、富士山や甲斐駒ケ岳、そして八ヶ岳あたりの山々が見渡せた。
風が強く、気温も下がってきたので雨具を着た。
9:00 北岳肩の小屋に到着。白根御池小屋のところにあった標識どおり3時間で着いた。 
標高3,000mの標識が立っている。  僕の時計では2,990mとなっている。  小屋の横には鐘が設けられている濃霧の時などに鳴らすのだろうか。  気温は9℃。  天気晴朗なれども風が強く帽子が飛ばされそうだ。
腹ごしらえをし、写真を撮り合った。
北岳肩の小屋にていよいよ山頂を目指す!
9:30 肩の小屋を出発。北岳頂上に向けての登り開始。
9:50 分岐点。左へ進む。「頂上まで20分」の標識。
10:15 標高3,140m。左手は大きく落ち込んだ絶壁。恐る恐る覗き込んで見た。岩、岩、岩。
GCLのTさんによれば、これが「北岳バットレス」とのことである。
10:30 ついに北岳頂上に立った。富士山が大きく見える。甲斐駒ケ岳が白く輝く花崗岩の山頂を見せている。
360度のパノラマ。 山に詳しい人達が「あれは○○山、あれは△△岳・・」と説明している。  そのなかには北アルプスの名前もある。 皆、しばしの感激に浸った。全員で記念撮影。
頂上の立て看板は「北岳 3,193m」だったが、三角点(三等三角点) は「白根岳3,192」となっていた。
「緯度35°40' 28.4"  経度138°14' 20.5"」とも。
北岳に152回登っているという男性(75歳の由)が今日の登頂の証明を求めてきて、わがパーテイのTさんが代表してサインをしてあげていた。

北岳山頂感激と安堵のひととき 山頂看板の表記に??? 富士山が見える。手前甲斐駒ケ岳
北岳を後に、振り返れば雄姿が。 赤く染まる空に映える富士山
(黄昏を迎える山荘より)
夢路は遥か縦走路に続く・・・・。

11:00 下山開始。霧雨が出てきたので、一旦脱いでいた雨具を着た。 急降下始まる。 稜線の行く手に赤い屋根が見えてきた。 北岳山荘だ。
12:15 北岳山荘に到着。 朝1時間早く発ったとはいえ、予定よりも3時間近く早く着いた。
この山荘はモダンな造り。 黒川紀章氏の設計によるとか。 振り返れば、いま降りてきた北岳が大きくそこにあった
あれに登ってきたのだ。 すごい山を越えてきた。  改めて感激に浸る。  山荘の隣には豪華な公衆トイレがあった。 部屋(名前は「間の岳」)に落ち着いたあと、皆でゆっくりくつろいで過ごした。
17:15 夕食。 この後さらに北岳登頂記念の祝杯をあげた人もいたようだ。
18:30 頂を夕陽に染める富士山を山荘の窓越しにカメラに収めた。
20:00 消灯。 念願の北岳踏破の満足感に浸りながら夢路に就いた。

3日目 8月24日(月) 晴れ 北岳山荘→大門沢小屋 10時間に及ぶ ロングコース。 
しかも 間の岳(3189m) 農鳥岳(3026m)など3000m峰 2つの登り・下りを経て、最後は大門沢小屋に至る1001mの急下降と言う厳しい内容を含むモノとなっている。 何はともあれ いざ挑戦的な気分で出発。
5:50北岳山荘 出発。 少しでも早めに! の気分みなぎる時間をとった。  まずは、中白峰(3055m)へのガラ場の急登。  リーダーは30分/5分休憩のペースだと言うが、とても耐えられない急登〜早すぎる・休憩!との「天の声」もつど度々発せられ、息継ぎ、休憩を取る。
6::53中白根到着・小休止。
7:40「縦走路」的登りで間の岳(3189m)に到着。
記念写真・小休止の後、農鳥小屋(2813m)に向けて、「登りコースにはとりたくない」400mのガラ場の急下降 笑っているのは膝だけ・・。

間ノ岳へと続く稜線 農鳥小屋へのゴロゴロ石の道 チシマキキョウ

9:15農鳥小屋には、予定時間を30分も短縮するペースで到着。   小休止をして農鳥岳(3026m)に向けて出発・・・  小屋の親父から、「普通なら40分で到着でしょう、それを超えたら年取ったなーと考えてください」有難くない宣託を頂だきながら・・(我が隊の予定時間は1時間12分)
前半のコースは「帽子の鍔に隠れて上を仰ぎ見ることも出来ない」程の「ガラ場の急登」。
それでも「ゆっくりペース」を維持しながら「無名の第一ピーク」まで登り切る。
10:55 西農鳥岳とも思わしきピーク(標識無し)に到着。
農鳥岳へのコースは、「これが縦走路かよ!」と怒鳴りたくなるような「巨岩を抱えながら?」岩登り的超危険カ所2カ所
11:52 農鳥岳にゆったり縦走路的登りで到着。 昼食・記念写真休憩。
13:10 大門沢下降 最後の難破に挑む
下降分岐点までは、楽々ハイキング的コース。  下降開始。農鳥小屋の親父の言う「百貫の下り(白馬〜祖母谷温泉の急下降路)なんて比べものにならないガラ場の急下降だよ」の言葉が思い出される。   岩石乱れ飛び、ガラ場続きの急下降路だ。
「体調維持のため30分位で小休止を取りながら、リズミカルに」なんて、とてもじゃないが出来ない。
   「フラ男・フラ子」 そして滑落事故?
膝がガクガク・太ももガンガン とてもじゃないがそんな指示は守られる状態じゃない。
フラフラになった我々の自嘲的名称だ。10:15分毎に小休止を入れながら安全第一を念じつつの下降 ・・・ 
そんな中で起きた「ブッシュ・ガラ場」帯でのT氏の滑落事故。  「小砂利に足を取られバランスを崩した状態・・・・と思ったが、フラ男状態の中で体勢の立て直しが出来なかった。  
腰が引けてしまい、ザックの重さがささえきれなかったこと。
ああっと!思った瞬間、体勢は崩れ、ガラ場に足・腰を取られそのまま滑落状態に・・・無我夢中でブッシュにすがりつき1m程度の滑落で止まったが、体の引き起こしが出来ない(太ももが重さを支えきれない状態) 仲間の助言で体の向きを変え、下に向かって立ち上がったら・・・と  上手くいかず尻滑りも含め、更に4m位の滑落後ようやく立ち上がり、差し向けられたストックにすがりながら横歩きで下山路に出た。
幸いにも擦り傷程度でけがもなく、救護班のチエック・仲間による荷物の分散・配慮など... どうにか歩いた・・・・
16:31 大門沢小屋着
休日開けと有ってか 「大広間貸し切り・500円シャワー」も有る寛いだ気分に浸った。
でも 食事は・・・ 例えば 出発の朝のメニュー
「ご飯・味噌汁・生卵・味付けノリ・漬け物少々に梅干し2個」これで登れる?
まあ 我が隊は3時間程度の下りだから良いとして・・・。

4日目 8月23日(火) 大門沢小屋→奈良田温泉の4時間コース
5:45 大門沢小屋 発
早めに温泉でゆっくりしたい 強い念願の現れ ?
本日のコースは、途中丸太橋3 吊り橋3 急下降1箇所 どちらかと言えばゆったりコースかな? ところが丸太橋に関しては、「救命ザイルで確保」。
吊り橋は路面板が欠損している。 途中の「木馬道」では横桟がはずれたまま・・・など。 「整備された安全登山路」とは言い難い箇所も散見される状態。
下山路の主体を為す後半路は ・・・・「整備された森林公園」の散策的気分にも浸れるような、なぜか「下草・雑草」一つ無い本当に「ルンルン気分」のコースだった 。
9:12 広河内橋着(予定より1:30速い到着) 小休止の後(予定外の)路線バスを利用する。
10:00 奈良田温泉到着。 帰りのバス(入浴衣類も預けてある)到着がその1時間後とか ・・・・
何はともあれ 無事帰還の乾杯から ・・・・
後はバスに揺られて新富観光まで。。   こうして楽しかった4日間の北岳(白根三山縦走)の山行が終わった