安全登山のためのリスクマネジメントと
シミュレーション

研 修 会

年月日  令和3年5月16日(日)
天  候 雨時々曇り
所在地  呉羽青少年自然の家と周辺
参加者  21名
記録者  T・K

 






一般研修会


今日は、会の今年度最初の研修会です。
私は朝の準備をお手伝いする為に、集合時間より早めに現地に到着しました。
会場は、富山市を一望できる呉羽山丘陵の裾野にあり、今は豊かな新緑に囲まれています。
2年前の1月、「読図研修」の目的で城山を歩いて以来の訪問でしたが、
雪が積もり冷たい雨の一日であったことが思い浮かびます。


8:30 玄関ロビーにて受付開始。検温と体調チェックを済ませ、2階の研修室に入る。

8:50 2階研修室 机椅子を全員で班ごとにセッティングする。
本日の資料やパンフレットが配られ、5班に分かれて全員席に着く。

開澤浩義氏(富山県山岳連盟理事長)
本日の講師 開澤浩義氏の自己紹介で始まる。
氏は現在、富山県山岳連盟の理事長である。

『日頃、南砺市を中心に赤祖父山、人形山、
猿ヶ山などの登山道の整備をしている。
とりわけ道宗道は、全線30kmにも及び、
その登山道の整備(草刈りや道標の設置など)は、
毎年実施している。』

『立山などのメジャーなところに比べると、
現実はなかなか手が廻らない。
地域、森林組合の仕事に合わせた活動を行い、
また行政に働きかけることで、より整備が行き届くよう努めたい。』


9:10〜10:30  資料をもとに説明

『安全登山の為の計画、準備をして如何に実行すればいいのか考えてみましょう。』
『リスクを予め想定してそのリスクに対応できるように準備することが大切です。』




■資料 <登山のリスクマネジメント>

リスク要因:@天気 A地形 B人

 @天気
  天気予報を判断して登山を計画するが、
  急変することを前提にその変化に対処できる
  装備も大切。
 A地形
  国土地理院の地図などをもとにルートを調べて決めよう。
  ルート上危険な場所、岩場、雪渓、落石場所の有無の情報を集める。
  それに対応できる装備をする。
  滑落しそうな場所や道迷いなどのポイント箇所を予め調査するのも有効。
 B人
  グループでの山行は、個々の体調や体力、経験が当然異なることを前提で計画を立てる。
  登山中の疲労などで遅れることなども想定する必要があろう。
  いままでヒヤリ、ハットされた経験を活かしてほしい。
  登山中にリーダーらが、参加者に声掛けすることで体調の変化や疲れを把握できれば、
  事故などを未然に防止できることもある。



■資料 <PDCA サイクルで安全登山>

lan(計画):目標を立てて緻密な登山計画を
        作成する
  @山行の目標
  A山の選定、ルート選定
  B情報収集
  C行動計画…エスケーププランやサブプラン
   なども作成
  D事前のリスクマネジメント

o(行動):現場でのリスクマネジメント
  @アクシデントが、発生したときの対処方法の計画を実行
  A安全確保
  B状況判断(続行するかor引き返すか)
  大切なのは、「引き返すのに勇気は要らない、引き返す計画も実行する」こと

heck(評価):整理、記録、報告会の実施
  @ヒヤリハットや見過ごしていたリスクなどがなかったか?
  A成果と課題を見つける。

ct(改善):Checkしたことを踏まえて次回のplanに反映させる
  新しいルール作りや装備の見直しや、日々のトレーニングをする

このP、D、C、Aを次々とサイクルさせることで次の機会や別のプランに反映させて、
よりレベルアップさせて、より安全な登山に繋げていきましょう。
標高差500m位を毎週登ることで体力を養い、高い山への挑戦も可能になると思います。


■資料<山のナビゲーション>

山道は頼れる情報が、極めて少ない。読図する力を養い自力で歩ける力をつけよう。

 @基本:地図の約束や地図記号、等高線の読み取れること。
 Aルート上のリスクは、なにか? チェックポイントを読み取る。
 B現場において地図上での現在地の把握をする。
 C分岐点の判断ができないと計画ルート維持ができない。道迷いの恐れも
 Dグループ山行においても、参加者本人もルートを調べておく必要がある。

以上の内容を、資料をもとに説明されました。



【 O.Kさんの発言 】
 高志山の会の山行で、参加者の中でかなり遅れる人や体調不良になる人がいます。
 その時には、どのように対処したらいいでしょうか?
 私達の会でしたら、まず班毎に、CLやSLがその人をフォローします。
 事前給水や適宜に休憩をとります。時には、全体とは別に下山することもあります。

【 K.Yさんの質問 】
 スマホなどの電子地図で登山計画を立て、登山中もルート確認するのはどう思われますか?
 GPSの機能で自分の位置がよくわかりますし、とても便利です。

【 開澤氏の応答 】
 とても便利で、活用は良いことだと思います。
 ただルートと少し逸れた雪庇の上を歩いていてもわからないこともあります。
 また電源切れや、失くすなどのリスクもありますので、紙の地図と併用することもいいのでは。


■資料 <富山県の山のグレーディング>

富山県自然保護課HPでは、「富山県山のグレーディング」で検索してピッチマップを開き、
各ルートの詳細を見ることができます。
天候良好の条件下で、県内92ヶ所の山の難易度・体力度・標準コースタイムなどがわかりますので
参考にして下さい。

【 M.Yさんの質問 】
 ここに、負釣山が、大地山と同じ体力度3、難易度Bにランキングされています。
 また標高差も1.61qと記されています。何かの間違いかと思いますが。
 うちの会の副会長がガイドブック『富山県の山』で執筆していますし、事実登りましたら
 こうではありません。

【 開澤氏の応答 】
 間違いに気づかれたら県の自然保護課に連絡ください。


■パンフレット <熊にご注意!!>

熊に自分の存在を知らせることや、熊の痕跡に気を付けましょう。


10:45〜12:00 フィールドでの実技体験
小雨のチラつく空模様の中、玄関前に全員が、山歩きの装備で集合する。
周囲一帯は呉羽丘陵フットパスの圏内。
講師を先頭に野外炊飯場より歩き始める。
国土地理院の地図を片手に現在どこを歩いているのか、周囲の様子を観察しながら歩く。

10:45 青少年の家をスタート、ここはファミリーパークと隣接している。

11:00 CP@分岐 起伏の高低差にかかる小橋を渡ると南東方向へ。  ※CP=チェックポイント
わくわく広場前を通過する。雑木林の中に藤の花が、見頃だ。
頭上の送電線と鉄塔を見て、現在の位置をマークする。

11:18 CPA分岐 看板「散策案内図」前を通過、
(北西方向にはのぞみの丘があるが行かず、南東方向に進む)整備された散策路を歩く。

11:25 CPB分岐 途中に亀山前方後円墳の標示あり。周囲は竹林。


11:30 CPC分岐 標示看板を北西方向へ
杉木立の中を歩く。

11:38 CPD分岐 更に北西へ。

11:44 CPE分岐 標示看板、ファミリーパークとの
境界フェンスに出る。
北西方向、尾根散策路を歩く(杉木立の森を抜けて)。
途中木立の合間より新湊大橋と富山湾が見える。

11:50 CPA分岐 先の通過点に戻る。

12:00 CP@分岐 通過。

12:05 青少年の家に到着。

準備された地図には、予定のコースやCPが記されておらず、歩いたルートがどこであるかを
確認するようなやり方でした。

意外と地図上の位置がわからず戸惑い、お互いに教えあうこともありました。
地図の縮尺も小さいので、細かい情報を読みとることは難しかったです。
しかし、ここは整備された環境で、多くの看板や標示があったため、講師が指示されたルートを
確認できたのだと思います。

12:10〜12:25  研修室で自分が歩いたコースをなぞり、班毎で間違っていないか確認する。


【 I.Tさんから 】
 私は81歳になります。
 トレーニングですが、毎日近くの運動公園で170段の階段を10回、1700段分歩きます。
 休日は、黒部の沢まで歩きます。
 今年は薬師岳に行きたいので。若い方には負けませんよ。


【 運営委員長より 】
 10月にも研修会を予定していますので、皆さん参加してください。